サンプルレートとは、音をデジタルで録音するときに、1秒間に何回測定するかを表す数値です。保存できる最も高い周波数はこれで決まり、サンプルレートの半分になります。44.1 kHzは音楽の標準、48 kHzは動画の標準で、どちらも人が聞き取れる範囲をすべてカバーしています。届け先が求めるレートを使い、ファイルが別のレートだった場合は正しく変換してください。
まとめ
要点:
- サンプルレート=1秒あたりの測定回数。単位はヘルツまたはキロヘルツ。
- 保存できる最も高い周波数は、サンプルレートの半分。
- 44.1 kHzは音楽とCD、48 kHzは動画・映画・放送。
- どちらかのほうが音が良い、ということはない。
- 誤ったレートで再生すると速度とピッチが変わる。変換すれば直る。
サンプルレートとは?
空気中の音は、切れ目なく連続して変化しています。コンピューターは連続したものをそのまま保存できないため、録音機器は音の波を一定の間隔で測定し、1回ごとの測定値を数値として保存します。この1回の測定がサンプルで、1秒あたりのサンプル数がサンプルレートです。44.1 kHzなら、チャンネルごとに毎秒44,100個のサンプルがあります。
1秒間に24枚の静止画を見せて動きに見せる、映画を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。音の波は目に見えるものよりずっと速く変化するため、音声には映像よりはるかに多くの刻みが必要です。録音を表すもう1つの数値であるビット深度は、各サンプルをどれだけ正確に保存するかを示し、周波数の範囲ではなくノイズフロアに影響します。
なぜ44.1 kHzなのか:標本化定理
サンプルはいくつあれば足りるのでしょうか。標本化定理がその答えを示しています。ある周波数を捉えるには、その1周期ごとに2つを超えるサンプルが必要です。したがって、あるサンプルレートで保存できるのは、その値の半分までの周波数です。この上限をナイキスト周波数と呼びます。人の聴覚の上限は約20 kHzなので、40 kHzを超えるレートがあれば、そのすべてをカバーできます。
44.1 kHzという半端な数字は、歴史の産物です。初期のデジタル録音はビデオテープに保存されており、毎秒44,100サンプルが、当時の2つのテレビ方式の走査線の両方にちょうど収まる数でした。CDの規格が決められたとき、このレートがそのまま引き継がれました。経緯は44.1 kHz規格の歴史 に記されています。ナイキスト周波数の22.05 kHzは、20 kHzより上に少し余裕を残しており、それより高い成分を取り除くフィルターが働く場所になっています。
44.1 kHzと48 kHzの比較
| 44.1 kHz | 48 kHz | |
|---|---|---|
| 1秒あたりのサンプル数 | 44,100 | 48,000 |
| 保存できる最も高い周波数 | 22.05 kHz | 24 kHz |
| 標準となっている分野 | 音楽、CD、ストリーミング | 動画、映画、放送 |
| ファイルサイズ | 基準 | 約9%大きい |
| 聞いてわかる違い | なし | なし |
動画が48 kHzを使う理由
業務用の音声と映像が48 kHzに落ち着いたのは、実用上の理由からです。その1つは計算のしやすさです。48,000は一般的なフレームレートで割り切れ、24フレーム毎秒なら1フレームあたり2,000サンプル、25なら1,920、30なら1,600になります。一方、44,100を24で割ると1,837.5です。そのため、カメラ、動画編集ソフト、放送局は48 kHzを前提としており、映像と一緒に使うものには48 kHzを選ぶのが安全です。これに対して、音楽の配信事業者やストリーミングサービスは、44.1 kHzのマスターを当たり前のように扱っています。
サンプルレートが合っていないとどうなるか
ほとんどのソフトウェアは、ファイルがプロジェクトと合っていない場合に黙って変換するため、何も気づかずに済みます。問題が起こるのは、変換されないまま、誤ったレートでファイルが読み込まれたときです。44.1 kHzの録音を48 kHzとして再生すると、約9パーセント速くなり、半音1つ半ほど高く聞こえます。逆の場合は、遅く、低くなります。動画の話し声が少し甲高い、あるいは間延びして聞こえるなら、まずここを確認してください。
これとは別の問題が、ずれ(ドリフト)です。音と映像が最初は合っているのに、少しずつ離れていきます。原因は、2台の機器がそれぞれ独自のクロックで録音していることにあり、サンプルレートの変換では直りません。編集ソフトで音声を伸縮するか、同期を取り直す必要があります。
サンプルレートを変換する方法
ファイルをプロジェクトやプラットフォームに合わせる必要があるときは、元のファイルから1回だけ変換してください。
ステップ1: 現在のレートを確認する
ファイルをサンプルレート変換ツールで開きます。読み込みが終わると、現在のサンプルレートが表示されます。
ステップ2: 変換先のレートを選ぶ
動画には48 kHz、音楽のリリースには44.1 kHz、またはプラットフォームが指定するレートを選びます。
ステップ3: 変換して新しいファイルを使う
WAVをダウンロードして、プロジェクトに読み込みます。長さもピッチも変わりません。
高いレートに変換しても録音は良くならず、何度も行き来して変換しても得るものはありません。元のファイルを残しておき、別のレートが必要になったら、そこから変換してください。
サンプルレートは高いほど音が良い?
88.2、96、192 kHzといったレートは、聴覚の限界をはるかに超える周波数まで保存できます。これは制作の現場で役に立ちます。録音を大幅に遅くする場合や、強い加工を施す場合などで、そのために96 kHzで録音するエンジニアもいます。ただし、聴くうえでの効果は、あるとしてもわずかで、議論が分かれています。しかもファイルは2倍から4倍の大きさになります。完成した音楽や動画には、44.1 kHzと48 kHzで十分です。
ファイルを44.1 kHzまたは48 kHzに変換する
ファイルのサンプルレートを確認し、ブラウザ内で変換できます。
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